2015年01月12日

継父子の面会交流を取り決めた決定

http://kyodosinken.com/2015/01/06/%E7%B6%99%E7%88%B6%E5%AD%90%E3%81%AE%E9%9D%A2%E4%BC%9A%E4%BA%A4%E6%B5%81%E3%82%92%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%81%9F%E6%B1%BA%E5%AE%9A/

この決定は、2009年に千葉家裁が
血縁関係のない継父子(養子縁組関係もない)の
面会交流を取り決めた判例です。
2年間いっしょに暮らした母親の連れ子の面会交流を
父親と血縁関係のある3つ違いの妹とともに取り決めたものです。
母親の意向に沿って姉の面会交流が取り決められ、
姉の意向に面会交流の実施が委ねられているという面では
必ずしも子どもの視点に立ったものとは言い難い側面もありますが、
面会交流が明文化されていなかった、旧民法766条を根拠に
継父子の面会交流を取り決めたという点では画期的な判例と言えます。
高裁でもこの決定は否定されることなく、
むしろ、交流の拡充、柔軟な交流が促されています。
posted by 家裁監視団 at 00:11| Comment(0) | 判例情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

移送差し戻し「裁判所で証言させることは子の意思の尊重≠ニは言えない」

http://kyodosinken.com/2015/01/05/5837/

父親のもとで育っていた子どもを、
母親は人身保護請求を申し立て
「会わせる」という約束を申し出て引き取りました。
母親が再婚相手の養子に子どもたちをし、
その後、面会交流を続けていたものの、
2013年に母親と養父が面会交流間妨害しました。
父親は、代諾による養子縁組も含めて、
損害賠償請求を母親と養父に東京地裁立川支部に求めました。
裁判所の決定(千葉家裁、東京高裁)では、
父親は、母親の連れ子である上の子どもとの
面会交流も下の子に準じてできることになっていました。

母親側は、母親側の居住地である千葉地裁に
移送を申し出、いったん立川地裁が上の子の意見聴取の
必要性を認めて異例にも移送を認めました。
この決定は、父親の抗告に対し、東京高裁が
抗告を認めて、もともと子どもたちが
暮らしていた父親の居住地の管轄である、
立川の地裁で損害賠償の裁判を行うように命じたものです。
ketsuen-nashi-oyako-kouryu
もともとの面会交流の決定文には、
上の子との面会交流には「子どもが望む場合には」という一文が入っていました。
この点が争点になりましたが、東京高裁は、裁判所で子どもに証言させるのが
子どもの福祉の観点から望ましいとは言えず、
上の子の心情への配慮について触れた点が注目されます。
会えない子どもに「会いたいかどうか」を「言わせる」ことが
「子の意思の尊重」とは言えないことを裏付ける決定です。
posted by 家裁監視団 at 00:08| Comment(0) | 判例情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月23日

月2回以上(うち1回は宿泊つき)+年20日の面会交流調停成立(東京家庭裁判所2010年10月22日)

月2回以上(うち1回は宿泊つき)+年20日の面会交流調
停成立(東京家庭裁判所2010年10月22日)         


この事例は,理想的な取り決めが不履行になった1例として
紹介しています。
裁判所が,離婚後の親子関係や面会交流は
充実・確保すべきものとの意識や
自身が斡旋した取り決めを履行させるという自覚が乏しいため
調停や審判での決定に際して,どのような内容のものを求めるかは
自己防衛するしかありません。ご参考にしてください。

【調停調書の内容】

1 AとBは,本日,調停離婚する。

2 当事者間の長女C及び二女Dの親権者をいずれも母であるB,
長男Eの親権者を父であるAと定める。
ただし,いずれの子らについても,監護者を母であるBとして,
同人において監護養育する。

3 Bは,子らが両親から愛され続ける環境を維持する観点から,
Aが前項記載の子らと月2回以上(うち1回は宿泊つき)
面会することを認める。
また,年間20日間の長期休暇時及び連休時の面会を認め,
この長期休暇時及び連休時の面会のあった月は
通常の面会を月1回とし,
長期休暇時及び連休時の面会が二月にまたがったときは,
いずれか一方の月のみ通常の面会を月1回とする。
面会交流の具体的な日時,場所,方法については,
子の福祉を尊重し,当事者双方で誠実に調整して定める。

2012年4月施行の民法766条で面会交流が明文化され
2013年3月28日の最高裁第一小法廷決定が面会不履行に対して
制裁金を課す決定を出すより2年余前の調停条項
としては画期的かつ子らにとっても理想的なものです。

しかしこの東京家裁の裁判官の職権の下,
調停成立し法律と同様の効果を持つ調停条項を同居親は
「絵に描いた餅」と放言して尊重せず,
現在は調停条項は反故にされて親子が引き離されています。

同居親とその弁護士がした行為は,
家庭裁判所発行の「面会交流のしおり」で裁判所が禁止する

監護者の行為に調停直後からピッタリ当てはまっていました。

つまり、
「過去の夫婦の争いや相手の悪口を子どもに言い」,
「面会中の悪かったことを細かく聞き」,
「子らに非監護親と『会いたくない。』と言わせ」,
「面会交流を一方的にやめてしまい」,
調停合意1ヶ月で面会交流の条件変更調停を申立てました。

これに対し,この同じ東京家裁は,
別途履行勧告を行いつつ,
同居親のこの不当な申立を受理しました。
一方でAさんの審判前の保全処分の申立を無視し,
他の家庭裁判所で行われている父母教育プログラムや
Aさんの試行面会の要求を聞き入れませんでした。
AさんとCDEとの面会交流の調査なのに,
同じ東京家裁の裁判官の職権の下,
面会の様子そのものは一切調査せず,
逆に,調査官が,子らの「意向」調査と称して,
子らを裁判所に呼び出しました。

そして、2年半の分離の間に負の意識が植え付けられた,
子らの「意向」を鵜呑みにし,
これまでの面会交流の悪かったこと
……を聞き出して「事実認定」しました。

結局,双方合意したはずの面会交流を縮小・硬直化して
「月2時間,面会中……禁止が相当」としました。
そして審判で審理・調査する半年もの間,一度も面会がなく
Aさんの海外赴任で更に2年半もの間,親子が会えなくなるのに
親子関係は保全を要する「急迫の危機にない」とし,保全処分せず
親子分離を進めて平然とする,人道上許されない家事司法手続です。

(Aさんの話をもとに家裁監視団が編集)

【解説】
こうした親子引き離し行為を,放置・助長している,
日本の家事司法制度の問題点として,
上記のような同居親による面会交流の妨害の容認や
保全処分の機能不全に加えて,
間接強制による強制執行制度の科学的合理性のない執行基準と
機能不全があります。

執行官なしの間接強制による強制執行のためには,
民事執行法第172条第1項の
「相当と認める一定の期間内に履行しないとき」を特定するため,
諸外国同様,「月2回(うち1回は宿泊つき)面会」など
不履行に対するペナルティーが課される条件が明確であれば
必要十分であるはずです。
しかし,2013年3月28日最高裁第一小法廷決定が示すように,
間接強制が可能とされた大阪高裁平成14年1月15日決定の
調停条項のように,結局
「面会交流の具体的な日時,場所,方法については,
当事者双方で調整して定める」ものであるはずなのに,
たまたま「毎月第2土曜日から翌日の日曜日」など例示があれば,
「給付の特定に欠けるところがない」として間接強制により
別居親子の面会交流権が実現することになります。

ところが,上記調停条項のように,
不必要に例示しなくとも間接強制等できると聞き合意した
月2回以上(うち1回は宿泊つき)+年20日の面会交流権が,
Aさんや子らCDEに何ら過失がないのに,
2年余後の最高裁第一小法廷決定で,
例示がないとの合理性ない理由で,
やっぱり間接強制できないと,実効性が奪われてしまいます。

これは,いわゆる「だまし討ち」であるだけでなく,
大阪高裁2010年1月15日決定当事者との
法の下の平等等侵害する,正義・公平の府にあるまじき
家事司法執行です。

posted by 家裁監視団 at 08:45| Comment(0) | 判例情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする