月2回以上(うち1回は宿泊つき)+年20日の面会交流調
停成立(東京家庭裁判所2010年10月22日)
この事例は,理想的な取り決めが不履行になった1例として
紹介しています。
裁判所が,離婚後の親子関係や面会交流は
充実・確保すべきものとの意識や
自身が斡旋した取り決めを履行させるという自覚が乏しいため
調停や審判での決定に際して,どのような内容のものを求めるかは
自己防衛するしかありません。ご参考にしてください。
【調停調書の内容】
1 AとBは,本日,調停離婚する。
2 当事者間の長女C及び二女Dの親権者をいずれも母であるB,
長男Eの親権者を父であるAと定める。
ただし,いずれの子らについても,監護者を母であるBとして,
同人において監護養育する。
3 Bは,子らが両親から愛され続ける環境を維持する観点から,
Aが前項記載の子らと月2回以上(うち1回は宿泊つき)
面会することを認める。
また,年間20日間の長期休暇時及び連休時の面会を認め,
この長期休暇時及び連休時の面会のあった月は
通常の面会を月1回とし,
長期休暇時及び連休時の面会が二月にまたがったときは,
いずれか一方の月のみ通常の面会を月1回とする。
面会交流の具体的な日時,場所,方法については,
子の福祉を尊重し,当事者双方で誠実に調整して定める。
2012年4月施行の民法766条で面会交流が明文化され
2013年3月28日の最高裁第一小法廷決定が面会不履行に対して
制裁金を課す決定を出すより2年余前の調停条項
としては画期的かつ子らにとっても理想的なものです。
しかしこの東京家裁の裁判官
(竹内純一裁判官,松谷佳樹裁判官)の職権の下,
調停成立し法律と同様の効果を持つ調停条項を同居親は
「絵に描いた餅」と放言して尊重せず,
現在は調停条項は反故にされて親子が引き離されています。
同居親とその弁護士がした行為は,
家庭裁判所発行の「面会交流のしおり」で裁判所が禁止する
監護者の行為に調停直後からピッタリ当てはまっていました。
つまり、
「過去の夫婦の争いや相手の悪口を子どもに言い」,
「面会中の悪かったことを細かく聞き」,
「子らに非監護親と『会いたくない。』と言わせ」,
「面会交流を一方的にやめてしまい」,
調停合意1ヶ月で面会交流の条件変更調停を申立てました。
これに対し,この同じ東京家裁の竹内裁判官は,
別途履行勧告を行いつつ,
同居親のこの不当な申立を受理しました。
一方でAさんの審判前の保全処分の申立を無視し,
他の家庭裁判所で行われている父母教育プログラムや
Aさんの試行面会や科学的で公平な直接の
面会調査の要求を聞き入れませんでした。
AさんとCDEとの面会交流の調査なのに,
同じ東京家裁の松谷佳樹裁判官の職権の下,
面会の様子そのものは一切調査せず,
逆に,調査官の木村晶江が,子らの「意向」調査と称して,
子らを裁判所に呼び出しました。
そして、2年半の分離の間に負の意識が植え付けられた,
子らの「意向」を鵜呑みにし,
これまでの面会交流の悪かったこと
……を聞き出して「事実認定」しました。
結局,木村調査官は、
双方合意したはずの面会交流を縮小・硬直化して
「月2時間,面会中……禁止が相当」としました。
そして審判で審理・調査する半年もの間,一度も面会がなく
Aさんの海外赴任で更に2年半もの間,親子が会えなくなるのに
松谷裁判官は、木村調査官の非科学的で印象に基づく調査を
うのみにし、
親子関係は保全を要する「急迫の危機にない」とし,
Aさんの海外赴任前に保全処分せず
Aさんの海外赴任後に、
すでに面会交流は悪いものという意識を植え付けられた
子どもたちへの、子の「意向」調査を再度命じ、
親子分離を進めて平然とする,人道上許されない家事司法手続です。
なおAさんは、日本の家事司法制度では親子関係は守れないとして、
今年秋から発効するハーグ条約に基づく、面会その他の交流支援を
赴任国の中央政府に申請し、国際的に東京家裁及び
日本の家事制度の問題点を訴えていく予定です。
(Aさんの話をもとに家裁監視団が編集)
【解説】
こうした親子引き離し行為を,放置・助長している,
日本の家事司法制度の問題点として,
上記のような同居親による面会交流の妨害の容認や
保全処分の機能不全に加えて,
間接強制による強制執行制度の科学的合理性のない執行基準と
機能不全があります。
執行官なしの間接強制による強制執行のためには,
民事執行法第172条第1項の
「相当と認める一定の期間内に履行しないとき」を特定するため,
諸外国同様,「月2回(うち1回は宿泊つき)面会」など
不履行に対するペナルティーが課される条件が明確であれば
必要十分であるはずです。
しかし,2013年3月28日最高裁第一小法廷決定が示すように,
間接強制が可能とされた大阪高裁平成14年1月15日決定の
調停条項のように,結局
「面会交流の具体的な日時,場所,方法については,
当事者双方で調整して定める」ものであるはずなのに,
たまたま「毎月第2土曜日から翌日の日曜日」など例示があれば,
「給付の特定に欠けるところがない」として間接強制により
別居親子の面会交流権が実現することになります。
ところが,上記調停条項のように,
不必要に例示しなくとも間接強制等できると聞き合意した
月2回以上(うち1回は宿泊つき)+年20日の面会交流権が,
Aさんや子らCDEに何ら過失がないのに,
2年余後の最高裁第一小法廷決定で,
例示がないとの合理性ない理由で,
やっぱり間接強制できないと,実効性が奪われてしまいます。
これは,いわゆる「だまし討ち」であるだけでなく,
大阪高裁2010年1月15日決定当事者との
法の下の平等等侵害する,正義・公平の府にあるまじき
家事司法執行です。