2010年12月04日

その10「エサやり判決」

「エサやり判決」

「犬にエサをやるような」面会交流を取り決める審判のことを言う。
日本では、家裁を経ると、別居親と子どもとの面会交流が月に1度が相場とされ、年間100日は保障されている諸外国と違って、極端に少ない。
月に1度2時間だと、365日分の1日となる。1日間換算だと約4分、諸外国の標準の実に100分の1である。
これはたとえば、年に3度というのが、隔月になったり、月1になったり、家裁の面会交流相場が変動してきた結果のようだが、何の根拠もあるわけではない。
しかし家裁の調停委員は、月に2度の取り決めが当事者どうしで決まりそうになっても、月に1度に減らしたり指導する場合もある。
審判になると、それが「子どもの福祉」という言葉で正当化される。
もちろん、月に1度は、同居親が拒否的でない場合に可能となることで月に1度の取り決めがみんながみんなできるわけではない。


「面会謝絶審判」

家裁で面会交流が絶たれる審判を呼ぶ。
最近は、「家裁いいかげんにしろ! Kさん親子の面会謝絶審判を問う会」の活動もあり、この言葉が流通している。
別居親と子どもとの関係が何の問題もなくても、同居親の不安定によって、家裁は親子の面会を絶つ場合がある。


「子どもの福祉」

家裁が親子の交流を制限する場合に使う言葉。
面会交流を制限する場合、子どもが小さかったり、親どうしに葛藤があったり、養子縁組がなされたり、さまざまな理由を家裁の審判官は上げることがあるが、最後に水戸黄門の印籠のように、この文言を持ち出して審判書きを終える場合が多い。
何より、面会交流を家裁が推進する立場であるとするなら制限的に面会交流の決定を出すこと自体が矛盾である。
したがって、同居親が拒否的である場合、その意向を反映して
「会わせてやってんだから、少なくって我慢しろ」
という決定を出すときに、それが「子どもの福祉」だと裁判所は言わざるを得ない。


「別居親は邪魔者」
 
家裁や、子どもに会わせたくない同居親にとって、子どもに会いたいと主張する別居親の存在は、「邪魔者」そのものである。
2008年には、子どもに会いたいと主張する母親が、父親に殺される事件が起きたが、これなど「邪魔者は消せ」そのままである。
会わせないということは、会わせない側にも相当の努力を強いることになる。
いずれにしても、関係をクローズドにして「邪魔者」を排除し続けることには無理がある。
しかし面会交流が、「子どもの権利」ではなく、「子どもの福祉」である以上、こういった排除の論理はまかり通ることになる。


「最小面会」

弁護士の棚瀬孝雄さんが、最近使っている用語。
「ぼくらは、『エサやり面会』って呼んでますよ」
「ぼくは、『最小面会』って呼んでるけどね」
なんて、会話を交わしたことがある。
現在、家裁の審判レベルでは、月に1度2時間という面会交流の相場が固定化しつつある。以前のように、「面会謝絶審判」を出すことには、世論の動きもあって家裁の側は反発を受けるということを知っている。
月に1度なら、「会わせてやってるんだからいいでしょ」と別居親に説得できる。たまには弁護士も別居親を説得してくる。
一方、同居親の側にも、「月に1回だけなんだから、そのくらい会わせてやれば」と説得できる。
ちなみに、両者に何らかの問題がある場合は、隔月1回が、現在の相場である。
調停委員もこの相場のもとに、審判結果をほのめかし、調停をとりまとめようとするわけだ。

「最小面会」にするときの審判の理屈は主に高葛藤、家庭の安定、子どもの年齢の3つである。親どうしの対立関係が激しいときは面会制約の理由になる。
子どもが養子に入れられたりすると、家庭の安定が強調される。子どもが小さいときは、頻繁に動かすのはと言い、子どもが大きくなれば子どもの意思があるからと面会を制約する。
要するに、どうやっても、最後はそれが「子どもの福祉」だからという説明で、「最小面会」か面会謝絶に落ち着くというしかけになっている。
これを覆していくには、この「子どもの福祉」の中身を子どもの権利の視点から変えていくということになる。発達心理学的な海外の成果をあらゆる機会で紹介していくのも必要になってくる。

でも、最終的に「子どもの福祉」が裁判官の頭の中にある「イエ制度的発想」と枠から外れた判例を出すことに抵抗がある官僚主義の中で、「子どもの最善の利益」は「裁判所の最善の利益」に落ち着いていくというしかけにある。

posted by 家裁監視団 at 00:13| Comment(0) | 親子の引き離し用語集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その9「職権主義」は「職権濫用主義」

「職権主義」

訴訟手続きにおいて裁判所をその主宰者とし、裁判所に審判についての各種の権限を集中する原則。裁判長が訴訟指揮権や釈明権を多用して積極的に口を出し、注文を付け、裁判の主導権を握る。実体的真実の発見という要素の強い刑事訴訟では、職権主義の要素が強くなるが、家裁も同様に「職権主義」が採用される。
家裁の審判官は一人しかいないので、まるで「全能の神」のような存在になる。
裁判官の職権で丁寧な審理も可能だが、やろうと思えばいくらでも手を抜ける。


「当事者主義」

訴訟の開始、審判の対象の特定、証拠調べ、訴訟の進行や終了について当事者に主導権を与えること。原告と被告の両当事者の自主性と自由な法廷闘争に任せ、裁判長は極力口出しせずアンパイアに徹する。
民事訴訟は個々の権利利益の得喪変更に関するものだから、当事者主義が支配的(処分権主義・弁論主義)である。
現在家事審判法の改正作業が進んでいるが、家裁の運用を、「職権主義」から「当事者主義」に変えることも視野に入れていると聞く。


「職権主義」は「職権濫用主義」

家裁の審判官の権限を明記している家事審判法は、その第一条で法の目的として、「個人の尊厳と両性の本質的平等を基本として、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図ることを図ること」と定めている。
そうすると、あまり「権利の主張をするよりは」という発想になりやすいのかもしれない。
特に、子の監護については、「子どもの福祉」が水戸黄門の印籠のような役割を果たすので、裁判長がめんどくさければ、いくらでも証拠など無視できて、結果、 監護親有利な取り決めや決定を出すことが可能になる。家裁の調停では書面の形式もどういうやりとりを当事者間でするかも、何の決まりもない。当事者が生意気なら、裁判官の職権で主張を無視して黙らせることも可能である。
「職権主義」は下手をすれば「職権濫用主義」にすぐ陥りやすい。
裁判官や調停委員の横暴は、いちいち指摘していかないと変わっていかない。
posted by 家裁監視団 at 00:11| Comment(2) | 親子の引き離し用語集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

その8「養育費カンパ説」

「養育費カンパ説」

「親権のない親が養育費を払う場合、扶養控除に入れることはできない」
と思っている人は多いと思うが、法制度上は親権がない親でも扶養控除に入れることはできる。
要は婚姻時と同様、どちらかの親が控除に入れるので、同居親が子どもを扶養控除に入れてしまえば、実質的には別居親が控除に入れることができなくなるということのようだ。
現実的には「親権がなくなると扶養控除ができなくなる」というのとほぼ同義だが、離れてすんでいても、相手方との話がつけば、別居親が控除に入れることは可能だが、現実的にはそのようなことはレアケースである。
この場合、養育費はどういう扱いになるのかと考えると、子の養育のためのものと言いながらも、実はカンパみたいなもんじゃないのかというのが、別居親の間で議論になったことがある。見返りを求めず、子育てという意義に出資するもので、義務というニュアンスは制度上弱い。
そうすると、扶養控除に入れられなくても、寄付金控除に入れることができるのではないかという結論になる。しかし、実際には寄付金控除の対象になる団体は限定されているので、ここでも控除に入れることはできない。
実際は養育費は「手当」と考えると妥当なようだ。
他方、養育費を取る側は、不十分とは言いつつも、強制執行などの手続きが整えられてきた。しかし、養育費の額を行政に申告するかどうかは、任意である。
義務性の弱いお金を強制執行で公式には親とは呼びがたい、親権のない親から取ることには無理がある。
共同親権が法的に保障されれば、経済上の分担もあらかじめ取り決められることになるから、控除の議論もあらためて仕切りなおすことになるはずだけれど、当面、現行制度のおかしさを指摘していくことはできる。
裁判とかも追及できるのではないだろうか。おそらく憲法24条「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関 しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」という規定に抵触することになるはずだ。


「子ども手当て」

民主党は扶養控除をなくすと言っているが、養育費も払い、扶養控除は存続し、税金から「子ども手当て」が出ることになると、別居親にとっての経済的な負担は、所得の額以上のものになるだろう。
離婚家庭支援策は、別居親の養育負担も念頭に、総合的に考えていかないと、どうしても税制上も無理が生じる。こういった総合的な離婚家庭支援は、最終的には 共同親権が実現しないと解消していかないのだろうけれど、それを待ってはいられないので、別居親が積極的に発言していくことが重要だろう。
posted by 家裁監視団 at 00:10| Comment(0) | 親子の引き離し用語集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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