駆け出しの裁判官が回されたり出世をあきらめた裁判官が比較的多くいます。
(ちなみに裁判官のエリートは、若いうちから最高裁事務総局や
大都市の地裁、高裁を交代で行き来して出世していきます。
頭が固い裁判官が日本でもっとも集まっているのが東京高裁です)
逆に、人事を握る最高裁事務総局に目をつけられた裁判官も
家裁を回され、家裁改革に取り組んだりもしているそうですが、
実際にそういう裁判官に接する機会は極めて稀です。
元裁判官の井上薫が書いた『狂った裁判官』 (幻冬舎新書)
という本では、裁判官の実態が赤裸々に描かれていますが、
それを見ると、家裁に限らず裁判官は一人で何十件と
案件を抱えているのがわかります。
特にここ10年で家裁で、もっとも扱いが難しい
面会交流の調停の申立件数は3倍以上になっています。
いちいち丁寧に相手をしていては、事件処理が遅くなり出世に響きます。
調停では、「裁判官は2人以上の調停委員とともに
調停委員会というチームを組んで手続を進めます」(裁判の登場人物)
が、忙しすぎてとてもすべての調停に出席することはできません。
調停が不成立になり、審判になれば決定を書かなければならず、
ますます忙しくなるので、審判に行く前に調停に登場し、
子どもに会いたい親をあきらめさせることがままあります。
http://kasaicheck.seesaa.net/?1291563943
調停委員たちも、裁判官に迷惑をかけたくないので、
ものわかりのいいほうをあきらめさせるのです。
裁判所のホームページ「裁判の登場人物」によれば、
裁判官は以下のように説明されています。
http://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/saibankan.html
「裁判官は,憲法や法律に拘束されるほかは,
良心に従って,独立して各事件について判断を行います(憲法第76条第3項)。
(略)
家事審判では,裁判官は家事審判官と呼ばれます。
(略)家事審判官は,当事者の言い分を聴いたり,
当事者が提出する証拠を調べるなどして,
事案に応じて,家庭裁判所調査官の報告や
参与員の意見を聴くなどした上で審判をします
(略)
また,裁判の公正を保つために,
裁判官には身分保障が与えられていて,
憲法上一定の手続によって罷免される場合を除いては,
その意思に反して免官,転官,転所,停職又は
俸給の減額を受けることはありません
(憲法第78条,裁判所法第48条など)」
実際には、最高裁事務総局に目をつけられれば
昇給や異動で不利益を受けます。
とはいえ、事件処理の効率性は出世の条件でもあり、
一人の裁判官が独立して判断するために
実際には、当事者の言い分を聞かず、証拠調べもせずに
審判をやる前から結論を出している裁判官も多くいます。
裁判官を辞めさせるのは、国会で弾劾裁判所を開いてもらって
辞めてもらうしかありません。
弾劾裁判所は数えるほどしか開かれたためしがありません。
悪くて所長から「厳重注意」を受けるくらいです。
痴漢で裁判官が逮捕されたことがありましたが、
「裁判官ともあろうものが」ということではなく
そういう人が裁判官をやっているだけです。
異動が頻繁で世間と交わることも少なく、
そんな裁判官が情に叶った判決を出すとしたら奇跡でしょう。
趣味は囲碁とテニスだそうです。
審判の面会基準が、月に1回2時間程度となっているのは
裁判官が月に1回、2時間くらいしか子育てをしていないからです。
裁判官は異動が多く、途中で担当裁判官が
変わってしまうということもままあります。
また、家裁の手続きは、裁判官の職権主義の中で進められます。
これは、訴訟手続きにおいて裁判所をその主宰者とし、
裁判所に審判についての各種の権限を集中する原則です。
裁判長が積極的に口を出し、注文を付け、裁判の主導権を握ります。
裁判官の職権で丁寧な審理も可能ですが、
やろうと思えばいくらでも手を抜けます。
家事審判法は、調停や審判の手続きについて細かいことが
何も決められていないので、裁判官の職権で何回でも審判が続く場合もあれば
いくら証拠を出してもまったく聞いてもらえないということもあります。
調査官調査にしろ、「試行面接」にしろ提案しなければ
忙しい裁判所のいいように扱われる可能性もあります。
逆に言うと、特定のルールはないので、
調査官でも調停委員でも、会ってほしいと言えば
調停の期日でなくても会えますし、
書面は形式も決まっておらず、いつでも出せます。
要するにパワーゲームなのです。
家裁の審判官が海外のことを知っていることはほとんどありません。
「共同親権、何それ?」という裁判官も多くいます。
なので、単独親権がおかしいと不満をぶつけるよりも、
具体的な提案で受け入れられそうなものであれば、
まじめな裁判官や調停委員も考慮する可能性もあります。
(期待は薄いですが、それが正攻法です)
人情派ぶった裁判官が説得しにくることもありますが、
その裁判官があなたと子どもの人生を考えているなんて
ことはまずありません。
とにかく裁判官を信用しないことが、
家裁に行くときの第一原則です。